2008年03月16日

チベットのイメージ

 さて今回のチベットでの暴動。ネットではここぞとばかりに色んなことが書かれているが、その中に「平和的なチベット仏教を信じる温厚なチベット人が住む国を中国軍が侵略して・・・」と書いている人がいた。これを読んで、良くも悪くも世間のチベットのイメージってのは今のダライ・ラマ14世そのものなんだなと思った。

 かつてのポタラ宮では貴族や高僧の熾烈な権力闘争が繰り広げられていて、処刑も頻繁に行われていた。20世紀初頭まで続いた鎖国時代には外国人と関わりを持ったという理由で当時のダライ・ラマの命令で処刑された貴族もいる。今のダライ・ラマ14世がポタラにいた頃は知らないが、少なくとも先代まではダライ・ラマの政治はとても「平和的」とは呼べないものだった。

 さらに、今でこそチベット仏教に傾倒してダラムサラなどで修行する欧米人もたくさんいるが、かつてのチベット仏教の荒廃ぶりは酷かった。僧たちは飲む打つ買う、と何でもありで、女色は当然ながら男色も一般的だったらしい。おまけに尼僧院までもが同じ状態だったとか。さらに、チベット仏教が信仰されているモンゴルでは僧に結婚前の娘と一夜をともにできる初夜権なんてものまであったと言われている。

 また、チベット東部のカム地方のチベット人は熱心な仏教徒だが、カムはかつては「強盗の国」と呼ばれており、巡礼者や商人を殺して金品を奪うということを生業にしている者も多かったらしい。人を殺して金を奪っても仏に祈れば許されるという論理がまかり通っていた。

 ちなみに、チベットを占領した中国軍に最後まで抵抗したのもカムの男たち。ダライ・ラマがインドに亡命した後もネパールやインドとの国境の山岳地帯に立てこもりCIAの支援(資金援助や武器供与、戦闘訓練)を受けてゲリラ闘争を続けていたが、70年代に中国に急接近したアメリカに見捨てられて消滅した。

 「世界はチベットに関心を持っていない」とか「チベットを見捨てるな」とか言ってる人がいるけど、大国の勝手な都合で30年以上前にとっくに見捨てられているんだよね。

 さらに言うなら、当時のCIAとの折衝役はダライ・ラマの実兄が務めており、今でこそ平和主義を唱えるダライ・ラマ自身も当初は対中武力闘争を推進していた。実際、インドの訓練基地でチベット人部隊を軍用ジープに乗って閲兵するダライ・ラマという今では信じられない写真も存在する(これ)。

 そんなわけで、良くも悪くも世間のチベットに対する印象はメディアでさかんに持ち上げられる今のダライ・ラマ14世のイメージによるところが大きいんだなと思った今回の一件でした。今の世間のチベット問題に対する姿勢は反中国感情とチベット文化・仏教に対するオリエンタリズムが主要な動機になっているようでどうも釈然としないものがある。もちろん中国政府の行為が許されないものであることは確かだけど。

 ちなみに、私はダライ・ラマという人物を尊敬しているが、彼のことについて知れば知るほど、彼も矛盾を抱えた一人の人間なんだなと思えてきてさらに親近感がわく。人間がそうであるように、政治も単純に白か黒かという論理で語れるものではないと思うのだが・・・。
posted by Tets at 22:20| Comment(5) | TrackBack(0) | 旅1:中国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
チベット問題を日本人がどう思っているか興味で色々調べてみました、多くのは、同情や義憤、反中国的。三分の一国土が少数民族で占める中国は、民族問題も実に民主問題であり、進展しなければなりません。確かに今の中国の民族政策や民主の進展に問題はたくさんあります、否定するつもりはありません。日本人がとても感情的、優しい、すぐ同情や義憤になるのも理解できますが、しかしチベット問題は本当に複雑です、Tetsさんが書いた一部の内容のように。
Posted by 中国留級生 at 2008年03月17日 02:13
お返事が遅れて申し訳ありません。
私も中国政府のやり方には憤慨していますけど、
だからと言って他の多くの日本人のように
単純な反中国論を語るつもりはありません。
中国政府を批判したところで何も変わらないので、
どうしたら問題が解決するかということが大切だと思うのですが、
そういう視点で書いている人はほとんどいないですよね。
Posted by Tets at 2008年03月19日 23:52
僕もチベット虐殺は誇張と嘘が多いと思います。
ペマギャルポというダライラマ連絡官は、
なんと統一教会の関係者らしいです。
Posted by 90式 at 2012年01月16日 21:09
とうとうカラコンが発売されるみたいだよ!まだまだ購入できるサイトが少ないから見逃さないで!
Posted by デ コ ログ at 2012年01月24日 00:17
大手との比較を徹底的に今回は紹介します。何故ここまで有名になれたのか。どうして今もなおNO1なのか。リピ率など知りたい情報を交えて解説しています。そして最大のタブーにまで踏み込んでいるので直ぐに削除されてしまうかもしれません。早めのBookmarkをお勧め致します。
Posted by スタービーチ at 2012年01月24日 16:40
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